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デジタル治療 健康管理をもっと手軽に パート1


今日取り上げるのは、「The Tech Between Us」で紹介されているテクノロジーの中でも、私たち自身に最も影響を与えるテクノロジー、「デジタル治療(DTx)」です。医療のデジタルトランスフォーメーション(DX)は何年も前に始まりましたが、ここ数年、新型コロナの影響で、その勢いは加速しています。遠隔医療などのデジタル医療の提供は今や当たり前となり、対面診療よりも好まれることさえあります。医療の多くの側面がデジタル化され、暮らしの中に浸透してきています。インスリンポンプ、血糖値計、ウェアラブルデバイスのような、患者のデータを中央の統合システムに送信するコネクテッドデバイスは、言わば、聴診器を持った頼れる兄貴のような存在とも言えるでしょう。今回はこの目を見張る新しい医療分野について詳しく見ていきたいと思います。今日は、Digital Medicine Society (DiMe)のアソシエイトディレクターであるスミット・パテル博士からお話を伺います。パテル先生、「The Tech Between Us」にようこそお越しくださいました。

Smit Patel
こんにちは。お招きいただき、ありがとうございます。

Raymond Yin
まずはじめに、Digital Medicine Societの活動内容について少しお話しいただけますか?

Smit Patel
幅広い活動を行っていますが、それを説明する前に、なぜこのような活動をしているのか、そもそもなぜ設立に至ったのか、その経緯をごく簡単にお話させていただきます。私たちは、健康と健康転帰の最適化と向上を目指して、デジタルツールの倫理的、効果的、安全かつ公平な利用を推進するグローバルな非営利団体です。重要な点は、設立がパンデミック直前の 2019 年であったということです。つまり、医療のデジタル化を目の当たりにしていたのです。今は、個人がデジタルツールを使うのは当たり前の時代です。しかし、医療の領域において、この実現には非常に大きな課題がありました。多くの組織は、様々なデジタルツールでデータを取得していましたが、その後何をすればいいのかわからないという状態でした。また、肌の色が白い人たちにはとても有効であった PPGモニターのような技術ツールが開発され、これにより健康の公平性への懸念が浮き彫りになりました。ただし、デューク大学の研究室が肌の白い人を対象に検証を行ったところ、実はそれがそれほど正確ではないことが分かりました。


いずれにせよ、公平性への配慮が欠けていて、健康の公平性の発展に対する懸念は高まるばかりでした。AI、機械学習ツール、サイロ化された医療システムに関しては、これらのツール間のエビデンス評価から考えると、決済インフラはまだ困難なので、その使用はまだ決定されていません。大事なことを言い忘れていましたが、そもそもこうしたさまざまなツールをどのように定義するのでしょうか? システムの構築で、業界全体の関係者が同じ言語を話していることがどうしたらわかるのでしょうか? つまり多くの問題があったのです。デジタル化に取り組んだ当時、医療はあらゆる面で転換期を迎えていました。これらの問題は、数年前と変わっていません。でも違うのは、私たち自身の力で使用できるデジタルというツールを手に入れたことです。コロナが大流行したことで、人々がさまざまなツールを使い始めるようになり、医療が大きく変化しました。もはや患者が病院に行くのではなく、家庭や職場など、個人を中心にした医療が展開されるようになったのです。

Raymond Yin
さらに個別化された医療ですね。

Smit Patel
そのとおりです。そこで、Digital Medicine Society(DiMe)が、医療とテクノロジーをつなぐ世界的非営利団体として誕生したのです。自分たちを会議などの招集者という意味の「コンビーナ」と呼んでいます。投資家、消費者、規制当局、医療システム、臨床医、倫理学者、ハードウェアエンジニア、ソフトウェアエンジニア、設計者などの関係者が一堂に集まって、何が良いものなのか、何を道しるべとするのかを決定します。これまで非常に長い間、医療におけるこれらの課題を見てきました。この医療のデジタル化に、さらにデジタル層を追加するわけです。今は、これ以上格差を広げるべきではなく、むしろどうすれば格差拡大を抑制し、すべての人に役立つ優れた道しるべを構築できるかを考える時なのです。それは、優れた健康転帰をもたらし、公平性を向上させるものであり、さまざまなデジタルヘルスソリューションにおいて、倫理的な方法でそれを行わなければなりません。ですからDiMeでは、さまざまな関係者を集めて、いつでも、「良いもの」とは何かに関する共通の道しるべに立ち返ることができるよう、基準や枠組み、ツールキットやリソースの構築に取り組んでいます。

Raymond Yin
ヘルスケアと医療のこの巨大なデジタルトランスフォーメーションをめぐり、さまざまな骨組みを構築しているのですね。

Smit Patel
一文で端的に表現してくれました。

Raymond Yin
ヘルスケアや医療というと、デジタルヘルス、デジタル医療が話題になっていますね。これらは同じものなのでしょうか? デジタルヘルスとデジタル医療は同義語なのでしょうか、それとも違いがあるのでしょうか?

Smit Patel
とても良い質問ですね。よく尋ねられます。DiMeが設立されたとき、戦略アドバイザーとの共同作業で最初に行ったことは、「デジタルヘルス」と「デジタル医療」、そして「デジタル治療」の違いについて、明確化することでした。「デジタルヘルス」について言えば、これはテクノロジー、プラットフォーム、健康システムを含む最大のカテゴリーで、基本的に消費者を巻き込み、ライフスタイルやウェルネス、医療に関連した測定を行い、データの取得、データの保存、データの送信を行って、臨床業務やウェルネス環境での健康業務を支援します。しかし、これらは規制対象ではなく、エビデンスに基づく臨床研究が必要なものでもありません。「デジタルヘルス」という大きなカテゴリに分類されています。

例として 誰もが知っている Fitbit や Apple Watch を挙げてみましょう。これは消費者向けなのでデジタルヘルス製品なのでしょうか? いずれもウェルネスと予防以外は謳っていません。つまり、これはデジタルヘルスに該当します。「デジタルヘルス」カテゴリーにおける臨床意思決定サポートです。これは医療システム支援であり、医療IT(HIT)、消費者向け医療情報交換インフラです。いずれも「デジタルヘルス」に該当します。
それに対して「デジタル医療」と言うと、もう少し特殊になります。デジタル医療とは、基本的にエビデンスに基づくソフトウェアやハードウェア製品のことで、患者に関するその他の測定や介入を行うことができます。Fitbit や Apple Watch を装着している場合を考えてみてください。ウェアラブルセンサやコネクテッドセンサは、睡眠時間や身体活動などを計測することができます。

これは、デジタル医療製品のより小さなサブセットになります。デジタル医療製品というのは、ハードウェアやソフトウェア技術を使って客観的なデータを提供する測定製品ですが、それには何らかのエビデンスが必要です。Apple ストアのソフトウェアアプリなら、500メートル離れたところからでも睡眠を測定できるなどと簡単に謳うことはできません。正確な測定基準、検証、妥当性確認が必要です。それがデジタル医療製品になります。また、デジタルバイオマーカーの規制面にも影響があります。Fitbit と Apple Watch の話が出ましたが、さらに続けましょう。現在、パーキンソン病の臨床現場では、30年以上にわたってさまざまな治療薬が市場に出回っています。

しかし、これまでパーキンソン病患者の活動を測定することができなかったため、完全に効果的な薬は1つもありませんでした。いくつかの研究を行ったところ、パーキンソン病患者にとって歩行能力が重要であることがわかりました。これはデジタル医療にとって興味深い測定値になります。また、ミオパチーという、心臓の障害のようなもので、日常生活が思うようにできなくなる疾患があります。患者の活動を知り、理解する必要があります。その活動量とは、1 日あたりの歩数かもしれませんし、1日にどれだけ体を動かしたか、1分間で何歩歩いたか、などかもしれません。これが重要な測定値となり、研究の対象になります。
歩行能力については、加速度計やジャイロメーターと一緒に使えば、技術的デバイスとして加速度計ユニットで測定することができます。研究上の話になりますが、 Apple Watchがパーキンソン病患者に使われたり、臨床試験で使われたりすることで、消費者データが健康データになるのです。たとえ患者やユーザーが同じ Apple Watchを使用していても、臨床試験で測定するものには意味があります。ただし、患者に応じて測定する項目は変わります。こうして、同じApple Watch や Fitbit が、ウェルネスという使用目的に基づいた単なるデジタルヘルス製品からデジタル医療製品へと移行するのです。

Raymond Yin
一般市場では、フィットネス用途だけですね。

Smit Patel
ええ、今ではさらに健康測定を行うことができ、規制上のプライバシーやセキュリティデータに明らかな影響を与えることから、デジタル医療製品になっています。

Raymond Yin
つまり、デジタル医療はデジタルヘルスケアの一部なんですね。デバイスが測定を行い、データを投薬計画や患者に即した治療に適用するわけですね。

Smit Patel
そのとおりです。病気や障害、生理学的機能、行動学的機能に特化することで、フィットネスを超えたデジタル医療になるのです。このようにして、デジタル医療のあらゆるツールを網羅するデジタルヘルスのインフラは、臨床ケアや臨床研究の観点から、その目的が何であるか、あるいはツールの目的が何であるかによって、非常に具体的になります。

Raymond Yin
それでは、さらにお聞きしますが、デジタル治療は、デジタル医療の枠組みの中でどのように位置づけられているのでしょうか?

Smit Patel
これは新しいカテゴリーになります。デジタル治療は、デジタル医療の一部のようなものです。デジタルヘルス、デジタル医療、デジタル治療がありますが、このデジタル治療とは、ソフトウェアによって引き起こされる医学的介入であり、病気や障害の治療管理または予防を行います。つまり、デジタル治療は、デジタル医療のような計測ではなく、デジタルヘルスのような消費者向けのものでもなく、ソフトウェア主導のものであるのが特徴です。臨床的に評価され、病気や障害の予防のための治療管理を行います。処方されるものもあれば、処方されないデジタル治療製品もあります。単独でデジタル治療製品として機能するものと、医薬品や生物学的製剤に接続してデジタル治療製品として機能するものがあります。

それには基本的な原則がいくつかあるので、その例を少しご紹介しましょう。実際のデジタル治療を構成するのは、予防と管理だけでなく、エンドユーザーも含まれています。患者がエンドユーザーとして製品の設計や開発、展開に参加することで、患者のプライバシーやセキュリティ対策も組み込まれ、エビデンスの裏付けとなる試験データを持つことができます。例えば、米国ではオピオイド使用障害が大きな問題となっています。オピオイド障害患者用の薬、ブプレノルフィンによる治療法があります。Pear Therapeutics(ピア・セラピューティクス)という企業では、オピオイド使用障害のデジタル治療を提供しています。

「リセットO」というデジタル治療製品で、ブプレノルフィン補助治療です。すでにブプレノルフィンを服用している患者が、このDTx療法、つまりデジタル療法を自宅で受けられるようにするものです。基本的には48日間の補助治療で、スマホやノートパソコンで認知行動療法を受け、ビデオを見ます。そして、デジタル治療アプリ、またはソフトウェアアプリと対話します。その結果、患者の71%が午後10時から午前7時の間にアヘン剤を渇望していることが判明しました。まさに病院が閉まっている時間帯です。では、オピオイド使用障害患者はどうするのでしょうか? オピオイドの服用に戻ってゆくのです。これがデジタル治療が重要である理由です。スマホでいつでも好きなときに治療が受けられるので、患者は、自宅で自分の都合に合わせて、処方された治療を続けることができます。また、臨床試験で患者への効果が検証されているため、臨床的な裏付けやエビデンスもあります。

Raymond Yin
つまり、デジタル治療 は一般的な測定値やデータ収集ではなく、特定の病気や特定の障害に対する治療ということですね。

Smit Patel
そうです。治療と管理のためです。

Raymond Yin
デジタル治療は糖尿病などから始まったということを読んだことがあります。糖尿病は今でも主要な領域ですか? あるいは、デジタル治療はどのような領域に広がっているのでしょうか? オピオイド治療については知りませんでした。

Smit Patel
複数の領域に発展しました。ご指摘の通り、糖尿病はアメリカをはじめ世界の多くの人が抱える最も一般的な慢性疾患であったため、糖尿病から始まりました。ツールを持っているのは、素晴らしいことだと思います。診察に行かなくてもいいし、後から請求される自己負担の心配もありません。その部分をカットできます。デジタル治療が成熟し、対応できるようになった治療領域は複数あります。いくつかの例をご紹介しましょう。今では循環器科、神経科、皮膚科、消化器科、さらには行動学までに広がっています。世界中で多くの子供たちが抱えているADHDは、大人にも蔓延していますが、Akili Interactive (アキリ・インタラクティブ)社は、8歳〜14歳の子供向けに処方されるデジタル治療ソリューション、EndeavorRX (エンディーバーアールエックス)を開発しています。これはビデオゲームで、FDAの有効性データベースと安全性データに基づいて認可された初めてのビデオゲームになります。基本的に子供は1日25分、1週間に5日、4週間プレイします。これがADHD治療計画です。これにより、8歳〜12歳の子供の注意力の大幅な向上が確認されました。また、デジタル治療は筋骨格系の分野でも疼痛管理に役立っています。疼痛管理ついて2つの例を挙げましょう。1つは筋骨格系、もう1つは通常の中毒性疼痛です。Kaia Health 社は、患者の体に取り付けるモーションセンサを使用します。患者は自分の携帯電話を使い、どこにいても携帯電話を目の前に置いておきます。バーチャルPTセッションを行うのですが、それがデジタル治療になります。これにより患者の様子をリアルタイムで監視できます。その結果、対処療法では痛みの軽減が40%だったのに対し、デジタル治療では58%に向上することがわかりました。ですから、モーションセンサを使った自宅での疼痛管理はデジタル治療と見なされます。もう1つはRelief VRX で、FDAが初めて認可したバーチャルリアリティ製品であり、患者はバーチャルリアリティヘッドセットを装着します。こちらは18歳以上の成人を対象としており、8週間の治療を毎日行うことで、対処療法と比較して、疼痛スキルと疼痛レベルが大幅に改善されることがわかっています。

私は臨床医なので、データに基づいてお話しますが、これらの治療法は基本的に普及しており、よく使用されています。脳卒中のリハビリや、運動障害のある多発性硬化症患者向けの神経内科系のものもあります。MedRhythms (メドリズム)というデジタル治療では、音楽とリズム聴覚刺激と呼ばれるものを使います。これは臨床用語で、音楽とセンサを使って、基本的にリハビリを支援するものです。そのほか、禁煙のセラピー、腫瘍やがんのケアマネジメント、睡眠障害に対する不眠症セラピーなどがあります。このように、今では糖尿病の領域を超え、あらゆる分野で成熟する準備が整っています。そして今やイノベーターたちは、デジタル治療のさまざまな分野を開拓しようとしています。

Raymond Yin
ADHDの話に戻りますが、私の息子はADHDで、アデロールを処方されています。つまり、デジタル治療には医薬品と同じような効果があるということですね。

Smit Patel
そうですね、臨床医としても、親としても、デジタルで解決できるのに、子供に多くの薬を飲ませたくないものです。FDAの認可を受けたEndeavorRXは、非常に優れた効果があります。過去7年間の臨床試験で、アデロールのような薬と同等の効果があることが、比較試験で証明されており、ADHDに対して著しい効果があることがわかっています。私は大人で、ADHDでもないですが、注意力と集中力を高めるためにそのビデオゲームをプレイしてみたいものです。子供だったらなおさらでしょう。

Raymond Yin
もしそれがあったら、息子もアデロールではなく、そちらを選んでいたでしょう。薬にはいろいろな問題がありますから。一方、デジタル治療のレジメンは4週間で終わるようですね。

Smit Patel
はい。1日25分、週4日または5日を4週間、これが1か月の治療計画です。また、症状が改善されないと継続しなければならない薬物治療に比べ、注意力の向上に効果があります。つまり、治療方法は変わりつつあるのです。これは臨床ガイドラインには組み込まれていません。

Raymond Yin
そうですか。

Smit Patel
新しいので、そこに到達するまでには時間がかかります。しかし、このようなソリューションが、今後数年間で、私たちの親、私たち自身、子供たちの健康と医療を変えることになるでしょう。

Raymond Yin
おもしろいですね。記憶力改善サプリのCMでは、年齢を重ねても注意力や記憶力を向上できると謳っていますね。将来、デジタル治療でそんなことが実現できるようになるのでしょうか?

Smit Patel
イエスでもあり、ノーでもあると思います。睡眠から注意力、活動量の測定まで、さまざまな分野で研究が進められていますから、実現できると期待しています。私は、製品のラベルを作成する研究者をまず雇うべきだと考えています。

Smit Patel
まず科学者を雇い、次にエンジニアを雇い、そしてマーケティングマネージャーを雇います。なぜなら、エビデンスに基づいた優れた製品を単に市場に出すだけでなく、さまざまなエンドユーザーに採用されるための正しい基盤を築く必要があるからです。患者なら、間違いなく使いたいと思うでしょう。ですから、長くなりましたが、答えはイエスです。今後、さらに多くのデジタル治療が開発されることになるでしょう。今では、研究段階にあるデジタル治療は100を超えています。

Raymond Yin
おお、そんなにあるんですね。

Smit Patel
興味深いことに、先日、TLG Consultingの調査を読んでいいると、正確なデータではありませんし、その統計分析も見ていませんが、ブランド処方薬の割合と、新しいデジタルヘルス製品の成長率が掲載されていました。それによると、ブランド処方薬が 7% であるのに対し、デジタルヘルス製品は確か 22% でした。2035年、つまり今から12年後には、ブランド処方薬とデジタルヘルス製品の数は同じになることになります。デジタルヘルスの一環として、デジタル治療において、医療を大幅に改善できるような製品がさらに生まれてくることでしょう。

Raymond Yin
素晴らしいですね。本当に新しい分野で、この言葉が初めて使われてからまだ10年も経っていないと思います。それなのに、神経疾患、心血管疾患、精神疾患、糖尿病など、さまざまな病気の治療法として、すでに100を超える治療製品が開発されているわけです。これは大きな成長ですね。

Raymond Yin
それでは、ここで番組提供パートナーである Microchip社からの質問に移りましょう。 Microchip社 は、産業、通信、自動車などのアプリケーション向けに、リスクを低減し、コストを削減し、市場投入までの時間を短縮する革新的な製品を提供しています。同社について詳しくは、mouser.com/microchip をご覧ください。

これまで見てこられた、デジタル治療、あるいはデジタル医療全般の中で、最も革新的な治療法とは何でしょうか? また「革新的」であるとは何でしょうか。

Smit Patel
第一に思い浮かぶのは、スマート便座ですね。最も素晴らしい治療法の1つです。ロチェスター大学の研究者によって開発され、スタートアップ企業がFDAに申請中です。便座には3種類のセンサが搭載されていて、心不全患者の体液過多を測定します。心不全患者の体内には、3日から5日で5キログラムから6キログラム以上の体液が蓄積されます。つまり、その体液量は心不全の可能性を意味し、臨床面で常に注意すべき兆候でもあります。スマート便座は基本的に何も要求しません。トイレに行き、便座に30秒から60秒座るだけで、体液過多が測定されます。

Raymond Yin
すごいですね。

Smit Patel
患者は何も特別なことを行う必要がないという点で、これは驚くべきことです。予防の観点から、心不全や心臓発作を起こしそうな患者を特定できる豊富なデータが得られます。これが最も革新的なものだと思います。

Raymond Yin
本当にすごいですね。さて、デジタル治療の提唱者として、世界中を旅してこられたと思いますが、最近のお気に入りの旅行先はどこですか?

Smit Patel
実はデジタルからやや離れた場所で、マダガスカルです。新型コロナの前、私も友人たちも、文明から切り離された場所が好きで、マダガスカルはその1つなのですが、山に登りたいと思っていました。私たちが訪れた湾は国立公園で、方解石で自然にできた山がすぐ近くにあり、ロッククライミングをしたり、危険でスリルのある体験ができたり、熱帯雨林の中でナイトハイキングが楽しめました。それが一番面白い経験でしたね。

Raymond Yin
エクササイズのようですね。

Smit Patel
そうなんです。現地ではウェアラブルセンサもなく、熱帯雨林では通信もない。何も頼るものがなく、まさに完璧でした。ただそこで生きているだけでした。

Raymond Yin
素晴らしいですね。さて、治療法の話に戻りますが、臨床医として、さまざまな臨床試験に携わってこられたと思います。その中で、特に印象的だった試験や、何か感銘を受けた試験はありますか?

Smit Patel
私は患者としてデジタル治療を受けたことはなく、ADHDや心血管系などの疾患もないため、こうした臨床試験を受けたことがありません。でも、もしその必要があれば、あるいは願いがかなうなら、Akili Interactive(アキリ・インタラクティブ)社がEndeavorRx(エンディーバーアールエックス)の拡張として取り組んでいる成人の ADHD 向けビデオに興味があります。現在、成人を対象に試験を行っており、同じような結果が得られるかどうか、変更を加える必要があるかどうかを確認しています。実際の生活で使用できるビデオゲームというのは、素晴らしいと思いますね。大人なので、ビデオゲームはやりませんが、注意力を高めるために、あのゲームならやってみたいと思います。やってみるべきかもしれません。

Raymond Yin
私はゲーマーです。いつも何らかのゲームにはまっています。おっしゃる通り、好きなゲームで遊べる上に、それから恩恵を受けることができるなんて、最高ですよね。とても楽しいはずですよ。

Smit Patel
医療を変えるには、なんといっても医療を楽しくすることです。医者に行くのが好きな人、薬をもらうのが好きな人などいません。ただ、誰もが人生のある時点でそうしなければならなくなるのです。それなら、医療をもう少し楽しくすることはできないでしょうか?

Raymond Yin
全くその通りです。最後の質問ですが、今の仕事に就いていなかったとしたら、何をしていましたか?

Smit Patel
困りましたね。考えたこともありません。というのも、以前の薬学の世界から出て、今は自分の理想とする世界にいるからです。もし、今の仕事以外に何かするとしたら、権利擁護や支援活動を行うアドボカシーの世界で政策提言の仕事をしていると思います。この分野には情熱を持った人、知的な人がたくさんいるからです。 気候変動や食料安全保障、家庭の安全保障など、個人、健康、個人の生活に影響を与える政策のために自分にできることがあるのなら、アドボカシーの世界の仕事がしたいです。生きている私たちすべてにとって、より良い、より大きな影響を与えることができるはずです。限りある人生の中で、みんながより平和で健康でより良く暮らすことができるといいですね。

Raymond Yin
先生なら実現できると思います。ご一緒させていただいて、まさに適任だということがわかります。

Smit Patel
ありがとうございます。

Raymond Yin
スミット・パテル博士との対談第1部を最後までご視聴いただき、ありがとうございました。第2部では、デジタル治療についてさらに掘り下げたお話を伺いますので、どうぞ引き続きお聴きください。The Tech Between Us Podcastは、デジタル治療について取り上げたマウザーの特集コンテンツの一部です。さらにEmpowering Innovation Together全シリーズの技術記事、ユースケースなどのコンテンツをご覧になるには、mouser.com/empowering-innovationにアクセスしてください。

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組み込みソリューションのリーディングプロバイダーであるMicrochip Technologyは、産業、通信、自動車などの幅広いアプリケーションに向けて、リスクの低減、コストの削減、市場投入期間の短縮を実現する革新的で包括的な製品ラインアップを提供しています。詳細については、mouser.com/microchip をご覧ください。