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環境センサできれいな空気を:第1部

レイモンド・イン:「空気の汚染」という言葉を聞いてまず頭に浮かぶのは、一酸化炭素、鉛、粒子状物質、工場からの産業廃棄物など、私たちが屋外で吸う空気のことではないでしょうか。でも実は、屋内で吸う空気の方がもっと重要なのです。私の祖母もヘビースモーカーでしたが、タバコの煙などの危険因子のせいで、屋内の空気は屋外の空気よりも2倍から5倍も汚染されている場合があります。カビ、洗浄用化学物質、さまざまな粒子状物質、そして新型コロナウイルスのように、空気感染するウイルス。米国環境保護庁の推計によれば、アメリカ人は平均90%の時間を屋内で過ごしています。自宅、学校、工場、職場の屋内空気について今、改めて注目してみる価値があると思います。

本日は、ゲストにAmbisense(アンビセンス)社、製品責任者のロナン・クーニーさんをお迎えしています。ロナンさん、「The Tech Between Us」 へようこそお越しくださいました。
ロナン・クーニー:こんにちは、よろしくお願いします。

レイモンド・イン:まずはじめに、御社の活動内容について少しお話しいただけますか?

ロナン・クーニー:わかりました。弊社は、アイルランドのダブリンに拠点を置く環境分析会社です。独自に屋内空気質モニタリング機器も開発しており、その機器を使用しながら、気象データや混雑状況データ、建物内で収集される他のデータソースとあわせて、生データの解析を行っています。換気性能、熱性能、空気交換率、さらには結露、湿気、カビの発生要因など、詳細な状況の把握に取り組んでいます。機械学習や解析ツールを駆使することで、お客様が生活する環境に関するより詳細な情報を提供しています。

レイモンド・イン:ということは、全体から見ると、空気質は考慮すべきことの一部にすぎない、ということになりますが、いかがでしょうか。

ロナン・クーニー:ええ、その通りです。人々が生活する環境には非常に多く要因が影響を及ぼしています。エネルギーは明らかにその大きな部分を占めます。ですから、弊社は他社のデバイスも活用して、手掛かりとなる様々なデータを収集しています。これも、お客様のご予算と、調査の目的、またどこまで調査したいのかによって異なりますが、IoTデバイスを駆使し、その環境の全体像を把握できるよう努めています。

レイモンド・イン:大半の人は、空気質と聞けば、屋外の空気質を思い浮かべると思うのですが、オフィスや家庭、倉庫のような室内空気質というものは、新しい概念なのでしょうか?いつ頃からあるのでしょうか?

ロナン・クーニー:以前からあったと思います。その最も基本的なものが、温度と湿度です。屋内でも隙間風が入る席にいると寒気がしたり、太陽が差し込む窓際の席にいると、熱くて汗をかきますよね。ですから概念は以前からある程度あったのですが、新型コロナウイルスの出現で、意識が高まり、注目されるようになったのだと思います。そして今では、二酸化炭素にも意識が向けられ、それが何を意味するのか、人にどのような影響を及ぼすのかについて人々は関心を持ち始めています。さらに次は粒子状物質、揮発性有機化合物、もっと詳しく知ろうとすれば、その影響についてまで関心が広がっています。ですからご質問の答えはイエスでもノーでもあります。室内空気質の概念は以前からありましたが、確かに注目されるようになったのは最近です。新型コロナウイルスの影響のあったここ数年のことです。

レイモンド・イン:おっしゃる通りです。新型コロナウイルスの報告などで、ソーシャルディスタンスの確保と共にそのような話題がよく取り上げられていましたね。また、この対談の準備中にも、実に興味深い統計を目にしました。米国環境保護庁の報告によると、屋内は屋外より2倍から5倍も空気質が悪い場合があるのだそうです。本当に驚きました。

ロナン・クーニー:統計を見て、さぞかし驚かれたことと思います。ただ、論理的に考えてみれば、屋外なら、その空間が有害物質で汚染されていても、屋外の広い空間で消散してしまいます。でも、それが建物内にこもっているなら、換気が非常に悪ければ、濃縮されてしまうわけです。これは設計上の問題とも言えるのですが、間違ったフィルターを設置していると、十分な換気が行われず、そんな環境を自分でつくりあげてしまいます。そのわかりやすい例が二酸化炭素です。私たちは息を吐いていますから、ある空間に入れば、体温で温度も上昇し、二酸化炭素も増加します。そして人が動き回れば粒子状物質もおそらく増加するでしょう。都市は非常に汚染されていて、その屋外の汚染物質をその屋内空間に持ち込んでしまうとなると、中に入るのが少しおそろくなりますよね。その上、目には見えないため、空気の悪さに気づきません。

レイモンド・イン:興味深いですね。幸い多くの職場では、禁煙となっています。私の祖母は四六時中タバコを吸っていましたから、祖母の家の空気質はさぞかし悪かっただろうと思います。他にどのようなものが空気を汚すのでしょうか?先ほど粒子状物質や人の移動について触れておられましたが、カビなども空気質の低下に大きく影響しているのでしょうか。それとも外から取り入れる空気が主な要因となるのでしょうか?

ロナン・クーニー:そのすべてが要因となります。屋外の空気が非常に汚染されていて、それを機械換気システム、または自然換気によって屋内に取り入れる場合、自然換気はフィルター処理されていないため、屋内の空気質は悪くなります。また間違ったフィルターを使用して屋外の空気を取り込む場合も、微粒子はすべてシステムを通過し、ろ過されないため、その場合も空気質は悪くなります。しかし、温度、湿度、二酸化炭素は人によって生成されるものなので、最初に考えなければならない要因です。建物のカーペットの上を人が移動すれば、粒子状のほこりが舞い上がることになります。

レイモンド・イン:なるほど。そうですよね。

ロナン・クーニー:カーペット自体、揮発性有機化合物を生成する可能性があるもので作られていますから、次に洗浄用製品を考える必要も出てきます。その表面をどのように洗浄するかも考えなければなりませんし、またそれが更なる揮発性有機化合物を生成する場合があります。ですから、建物内では注意すべきものが多岐にわたっており、それらすべてを組み合わせて考慮しなければなりません。私たちはそこに介入して人々にデータ提供しているのです。繰り返しになりますが、それは目に見えないため、その空間の空気の質は人には判断できないのです。そして、その多くは建物の設計にまで反映されます。つまり建物の設計と実際の機能性は似て非なるもので、その空間の使い方によって非常に大きく異なることになります。
レイモンド・イン:そうですね。ひしめき合った空間、ここマウザーのように多くのキュービクルが並んでいるような空間では、広々とした環境や人が少ないところよりも、空気質がかなり悪くなっている可能性があるのですね。

ロナン・クーニー:ええ、ありえますね。パーティションを配置すると、多くの場合、建物の設計に悪影響を与えます。建築家が空気はAからBに流れると設計したとしても、その真ん中にバリアを置いて空気の流れを遮断したり、元の設計にはなかった新しい壁を作ったりしますよね。すると、すべての空気の流れが妨げられることにもなるのです。やはり、モニタリングしていないと、どんな影響があるのか、実際にどんな効果があるのかはわからないわけです。ですから、モニタリングが本当に重要になります。

レイモンド・イン:そうですよね。ある床面積にある人数を収容しようとするとき、そのようなことが考慮されていない場合がありますね。

ロナン・クーニー:まさにそうです。大いに考慮されなければなりません。特に最近では、在宅勤務が増え、だれがオフィスに仕事に来るのかが、わかりづらくなってきました。あるエリヤに人が集まりすぎていないか、人がうまく分散しているか、などもそうです。つまり、こういった全てが大きな要因となるのです。

レイモンド・イン:誰かが気絶して倒れたのなら、それは室内の空気質が悪いことを示す明らかなサインということですね。では空気質が悪いと、他にどのような健康上の問題が生じるのでしょうか。

ロナン・クーニー:そうですね、もう一度基本に戻って、温度について言えば、よくある不快感です。暑すぎたり寒すぎたりすれば、その場所にいたくなくなります。次に、湿度とカビについて言えば、特に湿度が高い空間では、カビを体内に吸い込んでいます。長い間そのような空間や環境にいるなら、かなりの量になるはずです。今日、私たちは90%以上の時間を屋内で過ごしているのですが、こうした環境は長期的に人体に大きな影響を与えます。自分の排出した二酸化炭素を吸い込むことで、生産性は完全に失われます。そんな空間で10人が2時間も会議をしていたら、誰もが眠気に襲われ、居眠りを始めることでしょう。これは二酸化炭素のせいで、十分な換気ができていないからです。こうした光景は役員級の会議室でよく見られます。会社の幹部たちがそんな空間で会議をしても、頭は働きません。二酸化炭素濃度が非常に高く、換気が非常に悪い状態で、予算などの会社にとって重大な意思決定を行っているのです。明晰な思考力で意思決定を行うためにも、そのような会議室は、最高の環境であるべきです。

レイモンド・イン:以前会議中に居眠りをしてしまったときは時差ぼけのせいにしてましたが、今後は、悪い空気、室内の空気質のせいにできますね。
ロナン・クーニー:良い例を挙げてくださいましたね。飛行機というのはおそらく究極の状況です。1、2時間のフライトであっても、ほとんどの人が眠っていますよね。機内を十分に換気するのは難しいからです。

レイモンド・イン:考えてもみませんでした。会議の多くは、大きな会議室でも定員いっぱいの状況ですが、機内もそうですよね。私たちは呼吸をしているので、二酸化炭素が増えます。換気も最適でないのかもしれませんね。

ロナン・クーニー:まさにそうです。ですから、第一ステップはデータです。空気質の良し悪しを示す情報が必要なのです。莫大な費用をかけて新しい換気システムを導入したり、コストがいくらになるかわからないのにこのような作業を行うのは意味がありません。また、最近では室内の空気質の調整に役立つモニタが非常に安くなっています。第一ステップとして、これを行わない理由はありません。データを取得し、それをもとに計画を立てます。急いで実施する必要はありません。長期的な影響に注目しているわけですから、空気質が危険なレベルでもない限り、長期間にわたって予算を組むことができるはずです。

レイモンド・イン:御社は世界各地、ヨーロッパ各地で事業を展開されていますが、新システムを設置される時はどのような政府規制に対応する必要があるのでしょうか?何らかの規制があるのでしょうか?

ロナン・クーニー:はい、アイルランドでは、現在かなり進展があります。アイルランドの安全衛生当局は今年に入って、職場の空気質に関する新しい規制を発表しました。職場に注目しはじめたのです。また、企業にはリスク評価が義務付けられました。現地の企業の多くはまだこれに気づいていないと思います。まだ始まったばかりですが、アイルランドには規制が制定され、毎年、換気に関するリスク評価の提出が義務付けられるようになったわけです。イギリスも同じです。イギリス安全衛生庁(HSE)は、職場の安全衛生に関する規制を設けています。さらに一歩進んでいるのは、1つの空間で、空気の供給量が1人あたり5リットルから8リットルを下回ってはならないと定めている点です。また、ヨーロッパ本土では、ガイドラインや慣行が進んでいますが、勧告に近いものです。しかし今後は、規制が始まり、過去数年間に私たちが見てきたことが、ますます厳しく規制されるようになると思います。人々はこのような空間に対し何ができるのかがわかっていますが、建物の90%がその基準を達成できないという可能性があるとき、政府はいつも規制の導入をためらいます。しかし、新型コロナウイルス以降、政府もデータを見るようになりました。状況はわかっているはずです。目標を設定し、その達成に向けて人々に行動を促すことが必要です。そして今、政府はそれを実行しているのです。ですから、これは素晴らしいことです。そろそろ導入される時期が来ていると思いますし、このような規制が今後も続くことを願っています。

レイモンド・イン:そうですか、米国でも同じです。さまざまな組織や政府機関からの推奨事項やガイドラインは存在しますが、この種の環境やこの種の建物では、これを満たさなければならない、と言ったような本当の規制ではありません。おっしゃる通り、データがあれば、オフィス内や倉庫内の空気質がどうであるか、より理解できるようになりますね。そして、そこから規制が生まれるのかもしれません。

ロナン・クーニー:そうですね。そして、テクノロジーに対する信頼感にもつながると思います。IoTデバイスなどは多くの人々にとっては、比較的新しいテクノロジーであり、その精度は高いと思われています。しかし、これらのシステムを導入するコストの話になると、みな穏やかでなくなり、上司は「ああ、また追加コストがかかる」と考えるのです。しかし、本当のメリットに目を向けなければなりません。ポイントはここです。導入するメリットは、導入コストをはるかに上回るのです。例えば、社員の欠勤が増え、オフィスに出社する社員がいつも体調を崩していたとします。揮発性有機化合物の問題や、長期的な健康上の問題を引き起こすような問題が発覚し、それが訴訟に発展するとしたら、それこそ企業が最も恐れている状況になります。誰かが将来的に巨額な賠償を求めて訴訟を起こしたときに、「データを持っていなかった」「これが問題になるとは思わなかった」という言い訳はもはや通用しないのです。なぜなら、今やそのようなデータはあるからです。ですから、雇用主として、システム設置を行うかどうかは彼ら次第なのです。

レイモンド・イン:そうですね。先ほどのご指摘の通り、新型コロナウイルスの影響で、職場や職場の安全と健康に対する企業の意識が非常に高まってきましたし、できればこれらのことが最優先事項になり、データを活用して職場内の換気や何らかの改善への取り組みが行われるといいですね。

ロナン・クーニー:はい。全国規模のテレビで報道されたことは一度もなかったと思うのですが、ここ数年、非常に率直な意見を言う人が多くなり、必要な変化がみられるようになったのは素晴らしいと思っています。必要なレベルまで規制がやっと追い着きつつあり、またそれに対する人々の本当の意欲と関心も出てきたのではないでしょうか。特に若い人たちの中には、「職場での屋内空気質に関する方針はありますか?」「新型コロナウイルス感染症以降、職場が安全で、従業員が病気にならないように、何か実行されていることはありますか?」といったような質問をする人が少しずつ増えていると思います。長期的な健康問題を誰も望んでませんから、雇用主からの回答が欲しいわけです。面接でそんな質問をされ、雇用主が答えられず、まごつくようでは恥ずかしいですよね。ですから、雇用主は真剣に取り組む必要があるわけです。その空間にいる社員の生産性だけでも、大きなメリットなはずです。そして、頭は冴えていますから、より良い決断を下し、生産性をあげ、なおかつ病欠も減るのです。それだけで得られる節約だけでも、導入コストをはるかに上回ると思います。


レイモンド・イン:多くの人が在宅勤務をするようになり、さまざまなことが家庭にも浸透してきました。1日8時間働き、残りの時間を過ごす自宅で、御社のようなサービスを利用している人たちが増えてきてるのではないでしょうか。
ロナン・クーニー:正直なところ、そんなに多くはありませんが、それに関連するいくつかのプロジェクトを現在大企業やアメリカの大手ハイテク企業と提携して進めているところです。会社がどこまで責任をとるべきなのかが、少し分かりづらくなってきているようです。もしリモートで働くのであるなら、会社は社員の自宅の空気質にも責任があるのではないか、ということです。

レイモンド・イン:なるほど、興味深いですね。

ロナン・クーニー:今、線引きするとすれば、オフィスは会社のものですから、間違いなく会社が責任を負わなければなりません。でも、換気も窓もない狭い自宅の部屋まで、会社が責任を負わなくてはいけないのでしょうか。私の家は、書斎を設けたり、素敵な革張りの椅子や大きな机など、あったらいいなと思うものすべてを置けるほど大きくはありません。現実は、全く違っていて、家族も使うキッチンテーブルで仕事をしています。ですから、会社として、どこで線引をするかは非常に曖昧になってます。大企業もそれを認識しており、先取りしようとしています。支援するために様々なことを導入し、自分たちの責任を果たそうとしています。

少なくとも状況を認識していますし、何ができるだろうかと模索しています。

レイモンド・イン:そしてエンジニアは、まずデータの取得から始める、そしてどのような環境であるかを認識し、その収集したデータを分析する、というわけですね。

ロナン・クーニー:まさにその通りです。そうです、データなしでは盲目的な決定になってしまうからです。これまで、こんな企業を見てきました、「ああ、空気質に問題があると思ったので、この10万ドルもする換気システムを取り付けた。でも、あなたたちに調査してもらったら、さして悪くもなかった。一体誰がこんな決定を下したのだ」といった具合です。

レイモンド・イン:わかります。

ロナン・クーニー:最近はデバイスが低コストなので、現場に設置し、データを取得して、観察し、それから計画と方針を立て始めます。それがいつも第一歩だと思っています。これらの多くは、昨今のサステナビリティのようなもので、必要なのは、方針です。それさえできれば会社全体がその方針に従っていくのです。ですからCEOは、優先順位を明確にする必要があります。社員が働く環境とその空気質を優先するのです。屋内空気質が非常に良ければ、社員を大切にしていると示しているようなものですよね。

レイモンド・イン:そうですね、気遣っているということですね
ロナン・クーニー:その通りです。店や店舗などにいて、人々が出入りしていたとします。もし屋内の空気質が非常に悪ければ、客の健康に影響するかもしれません。ですから、空気質が良ければ、それを宣伝する価値があります。私たちは以前、さまざまな職場の窓にいろいろなステッカーを貼っていました、「空気を常時モニタリングしています」と。また、大学も私たちにとって大きな顧客でした。いくつかの大学にデバイスを導入しましたが、やはり、学生は非常に狭い空間で学んでいました。授業から多くを学ぼうと集中しようとしていました。ですから、教室という空間での換気は、優先順位リストの中でも本当に高いものであるべきなのです。しかし、残念ながらほとんどの場合、そうではありません。

レイモンド・イン:そうですね。それこそ、考慮の対象にされてこなかったのかもしれません。働いたり、生活する自宅やオフィスのことは考えますが、子供たちは日によっては6時間から10時間も学校にいるのです。おっしゃる通り、より良い学習環境を作れるよう、完璧に近い空気質でなければいけませんね。また、子供たちはその学校に5年から6年も長い期間いることになります。

ロナン・クーニー:そうです。アメリカではどうかわかりませんが、アイルランドの学校の建物の多くは非常に古く、そして石造りです。そのため換気はそれほど考慮されていませんでした。そして新型コロナウイルスが発生して、大きな推進力となりましたが、すべての学校が閉鎖され、学生は教育と経験の機会を失いました。特にアイルランドの多くの大学では、ほとんどすべての授業がオンラインとなり、本当にかわいそうでした。3年から4年の大学の課程は修了しましたが、クラスメートに会うこともできず、すべてがオンラインで、膨大な人生経験を失ったのです。最近では空気質がそのような大学の優先事項になっています。大学が実際に真剣に取り組んでいるのを目にし、大変素晴らしいと思っています。ただし、コスト、経済的な問題があります。もし政府に相談して、これをすべての学校に導入するには年間数百万ドルが必要だと言っても、多くの場合、その資金はありません。

レイモンド・イン:そうですね、お話にあったように、こうした規制や提言がより真剣に受け止められ、学校の資金調達、企業による建物やインフラへの設備投資がより優先されるようになるといいですね。

ロナン・クーニー:まさにそうです。その空間で過ごす人々にとって、その恩恵は計り知れません。そして、人々を第一に考え、彼らが行っている仕事や彼らが達成できることを真に評価し、そして最高の環境を提供できるよう努めたいですね。大学においては、それはどの国でも同じですが、基準に基づき、自分たちはこの水準にあり、学生に最高の環境を提供していることを示したいと思います。

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レイモンド・イン:スタートレック派ですか、それともスターウォーズ派ですか?

ロナン・クーニー:スターウォーズでしょうか。

レイモンド・イン:本当ですか?私は大昔からスタートレックファンですが、最近のスター・ウォーズには最高に素晴らしいものがありましたね。

ロナン・クーニー:ええ、私はネクストジェネレーションを見て育ちました。その時はスタートレックファンだったと思います。ネクストジェネレーションで少し熱が冷めましたが、スターウォーズは今も好きです。

レイモンド・イン:御社が開発した製品の中で、最も誇りに思うものはなんですか?
ロナン・クーニー:最初のAmbiAir製品だと思います。当時、会社は転換期を迎え、屋外空気質と外気モニタリングを多く手掛けていました。この製品もまた、会社として何をしたいのかというコンセプトから生まれたものです。白紙の状態からスタートしたわけではなく、ただ、変更に変更を重ねていったのです。そして、チームもまた、本当に力を発揮してくれました。彼らの仕事ぶりや、時間をかけて積み重ねてきた努力には本当に頭が下がります。ですから、AmbiAirは、私たちが手掛けた最初のコア製品で、製品として最も誇りに思っています。
レイモンド・イン:すばらしいですね。次に、自分だけの「特製ハンバーガー」を作るとしたら、何を入れますか?

ロナン・クーニー:そうですね、まあ、チーズは外せません。

レイモンド・イン:そうですよね。チーズの種類は?

ロナン・クーニー:はい、アイルランドではチェダーチーズを食べて育ちました。おいしいチェダーがあるんです。他にもたくさんありますけど。私はシンプルなのが好きで、食べ物は大好きなんですが、特にハンバーガーに関しては、手がベトベトになるようなバーガーは好きではありません。卵を入れたり、お店によっては変わった具材を入れたりしますけど、そういうのは苦手です。

レイモンド・イン:ではキムチなどはだめですね?

ロナン・クーニー:のせませんね。良質でジューシーな分厚い肉、そしてチーズ、それからマヨネーズ。それだけですね、それで十分、満足です。

レイモンド・イン:いいですね。私は、ベーコンを足しますね。シンプルにチーズ、ベーコン、マヨネーズ、そしてマスタードを少し。

ロナン・クーニー:いいですね、おいしそうです。

レイモンド・イン:ええ、最高です。次に、Ambisense社についての質問です。御社はヨーロッパ各地で事業を展開されていますが、システムの導入をして一番よかった場所はどこでしたか?

ロナン・クーニー:難しい質問ですね。屋内空気質に関しては、大学でしょうか。多くの大学が真剣に立ち上がり、学生の生産性とその環境の関係を見て、その状況を変えようとしていました。導入は義務ではなく、やらなくてもよかったのです。大学などの教育機関はいつも予算が逼迫しているのですが、それでも、そのためにダブリンの大学は資金を捻出しました。ある大学は、学校全体、職員室などあらゆる場所に導入していました。データに注目しながら、そのプロジェクトに熱意をもって取り組んでいる姿には感動しました。その一方で、心配している人も多くいました。「データから、学校全体に深刻な問題があることが発覚し、その解決に何百万ドルもかかることになったらどうするのか」というわけです。彼らは情報を求め、それを共有したいと思っていました。また、ある学校では、学生の不安を和らげるために、各教室にステッカーを貼っていました。新型コロナウイルス流行で誰もが人の多い教室に不安を感じていた頃です。誰かの隣に座っても大丈夫だろうか、換気はされているだろうか、など誰もが気にしていました。そして、大学はそうした学生の不安を気にかけていることを示し、その不安を和らげようと取り組みました。その努力は称賛に値するものでしたね。本当に素晴らしいと思いました。

レイモンド・イン:ハーリングについて説明してくださいますか?それについて読んだのですが、うまく想像できません。

Ronan Cooney: 世界最速のスポーツの一つと言われていますが、ハーリーと言うステッキを使います。端が少し太くなっていて、トネリコの木で作られているんです。そして、シリタ―と呼ばれる硬いボールを使います。基本的に、ゴールポストを越えるようにボールを打つのですが、アメリカンフットボールのようなゴールです。背の高い2本のポールで、下部にネットがあります。ポールの間、バーを超えると1ポイント、ネットに入ると3ポイントです。非常に古典的で歴史のあるアイルランドのスポーツで、おそらく数百年の歴史があり、しかもアマチュアスポーツです。アイルランドのゲーリックフットボールもハーリングもアマチュアスポーツですが、その技術ベルは非常に高く、試合は本当に見ごたえがあります。YouTubeでハーリングを検索してみてください。試合を少し見れば、その技術レベルに圧倒されると思います。観戦するには最高のスポーツですよ。

レイモンド・イン:いいですね。今度必ず見てみます。次の質問ですが、エンジニアでなかったら何をしていたと思いますか?

ロナン・クーニー:ああ、それも良い質問ですね。私は機械いじりが好きで、小さい頃から物がどのように動いているか、いつも関心を持っていました。ここ数年は、家具や物の再利用など、アップサイクルにはまっています。サステナビリティの取り組みにもとても関心があります。物に新たな命を吹きこんで、長く使っていきたいと思ってますから。展示会などで、古い家具や廃棄寸前のような物を見つけては家に持ち帰り、少し手を加えてやったり、ペイントしたりするのが大好きです。私の家にある、おそらく50%の家具はどこかしらから持ってきて、手を加えたものです。多分、働く必要がなかったら、あまり良い給料はもらえていなかったでしょうね。

レイモンド・イン:働くのは嫌ですよね。

ロナン・クーニー:経済的なことを考えなければ、多分私はどこかの工房で気ままに働いてると思います。

レイモンド・イン:お気に入りの調理器具と言ったら何です?

ロナン・クーニー:調理器具ですか。料理スキルがないと言ってるようなものかもしれませんが、ポーチドエッグを作るときの小さなリリーポッドが気に入ってます。湯の中に沈ませずに、湯に浮かせて、割った卵をその上にのせれば、卵の形が整うのです。割れたり、くずれたりといったことが減ります。ですから、エッグベネディクトなどを作る時はいいですよ。なかなか便利です。

レイモンド・イン:そんな器具があるとは知りませんでした。

ロナンさん、本日は貴重なお話をありがとうございました。建物やオフィスの空気についていろいろお話が伺えました。本当にありがとうございます。

ロナン・クーニー:こちらこそ、ありがとうございました。私たちが力を注いで取り組んでいるテーマについてお話させていただき光栄です。空気質は本当に重要です。人々が職場や生活空間の屋内空気質に目を向け、少しでも改善しようと努めてくれることを願っています。

レイモンド・イン:ロナン・クーニー氏との対談第1部を最後までご視聴いただき、ありがとうございました。第2部では、環境センサについてさらに掘り下げたお話を伺いますので、どうぞ引き続きお聴きください。The Tech Between Us Podcastは、環境センサについて取り上げたマウザーの特集コンテンツの一部です。さらにEmpowering Innovation Together全シリーズの技術記事、ユースケースなどのコンテンツをご覧になるには、mouser.com/empowering-innovationにアクセスしてください。

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