RISC-V、設計者が活用すべき開発ツールのご紹介
マウザー・エレクトロニクス トミー・カミングス
ニューテック・チューズデー
マウザーの技術コンテンツ・スペシャリストとして活躍する技術ジャーナリストのトミー・カミングスが、毎週、設計エンジニアにとって興味深い「旬の」トピックを取り上げます。
RISCとは、縮小命令セットコンピュータ(reduced instruction set computer)の略です。2010年に開発されたRISC-V(リスク・ファイブ)は、自由に使用できる命令セットアーキテクチャ(ISA)として、オープンな標準化の協業を通してプロセッサイノベーションをもたらしています。RISC-Vはオープンソースのため、著作権を問われることなく、学術用途にも、あらゆるハードウェアやソフトウェアの設計にも利用できます。
使用料無料のオープンソースを使わない手はありません。
IoTアプリケーションから、コンピュータ機器、車載アプリケーション、コンピュータ制御まで、組み込みアプリケーションを設計する開発者にとってRISC-Vは理想的です。開発者は、人工知能、機械学習、モノのインターネット、仮想現実、拡張現実といったアプリケーションの新たなワークロード要件に対応するカスタムのプロセッサの製作にRISC-Vを使用しています。
開発の可能性は無限です。今週のニューテック・チューズデーでは、RISC-Vパーソナルコンピュータ・エコシステムの3つの製品をご紹介します。まだご存知ではない開発者の方には、ぜひ取り入れていただきたい製品です。
Bumblebeeコアの確認とデバッグを
Seeed Studio Sipeed Longan Nano開発ボードは、RISC-Vプロセッサでモノづくりしたい人に最適です。このボードは、GigaDeviceのRISC-V 32ビットコアのGD32VF103CBT6 MCUをベースにしています。非常に小さなボード(46.1mm x 20mm)ですが、数々の機能を備えています。24mm RGB LCDスクリーンが搭載されています。まずこれで映画を楽しもうという人はいないでしょうね。ボードは、二列のピンのレイアウト設計と700milのニードルピッチにより、ブレッドボードと直接接続して使用することができます。さらに、オンボード8M受動性水晶発振器、32.768kHz RTC低速水晶発振器、mini TFスロット、Type-C USBインターフェイスを搭載しています。
Microchip Technology PolarFire® SoC FPGAは、RISC-V CPUクラスタを搭載した初のシステム・オン・チップ(SoC)フィールド・プログラマブル・ゲートアレイ(FPGA)です。頭文字の略称がかなり出てきましたね。自動車グレードや防衛グレードのプログラマブル・ロジック・ソリューションを求めている自動車、防衛、航空宇宙、工業関連の開発者にとっては、このデバイスがIoTデバイスだけではなく、コネクテッド・システムやスマートアプリケーションにも最適であることがおわかりいただけるでしょう。
開発者の方に、さらに朗報です。PolarFireのFPGAは、オンチップのセキュリティ機能を実装しており、安全な通信、ビットストリームの暗号化、暗号化され安全なサプライチェーンを実現し、改ざん防止を保証します。
SiFive HiFive Unmatched Linux開発プラットフォームは、組み込みプラットフォーム向けの標準的なデスクトップ、Mini-ITXフォームファクタ(170mm x 170mm)に搭載された開発ツールです。SiFiveは、この製品を世界最速のネイティブRISC-V開発プラットフォームだと言っています。HiFive Unmatchedは、Freedom U740 Linux対応、マルチコア、64ビットのデュアルイシューRISC-Vプロセッサが特徴です。マザーボードは完全に開発環境対応なので、開発者はベアメタルからLinuxベースのシステムまで、RISC-Vベースのアプリケーション作成に利用できます。
今週のまとめ
シンプルな固定ISAとモジュラータイプの固定した標準拡張機能により、研究者、教師、学生は、RISC-Vの原理を活用し、さらに設計の可能性を広げていくことができるようになりました。また、新しい未来が見えてきそうです。